【2026年10月1日改正】改造自動車の届出が不要になる条件|現車審査・構造変更も解説

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2026年10月1日から、改造自動車の取扱いが変わります。

今回の見直しでは、一定の条件を満たす改造について、これまで必要だった事前の書面審査を省略し、現車審査だけで確認できるようになります。

また、これまで別々に運用されていた「改造自動車届出制度」と「新規検査等届出制度」が統合されます。

一見すると、改造車の手続きが大幅に簡単になるようにも見えます。

しかし、すべての改造が届出不要になるわけではありません。

さらに、届出対象から除外された改造であっても、保安基準への適合確認や構造等変更検査まで不要になるとは限りません。

今回は、2026年10月から何が変わるのか、どのような改造が対象になるのかを整理します。


そもそも改造自動車とは?

車をローダウンした、ホイールをインチアップした、エアロパーツを装着した、これらのカスタムも世間一般的には「改造車」と呼ばれています。

検査制度上の「改造自動車」とは、自動車製作者が製作した自動車について、車枠・車体、原動機、動力伝達装置などの装置を変更または加工した自動車をいいます。

改造内容が安全上重要な部分や、外観から容易に確認できない部分に及ぶ場合は、検査に先立って届出書や強度検討書などによる事前書面審査が行われます。

改造後の車両が保安基準に適合し、必要な検査に合格すれば、公道を走行できます。一般には、この手続きを「公認を取る」と表現することもあります。

改造自動車に該当する変更の一例

代表的なものはランクル70やジムニーJA11のリーフスプリングの交換です。

次の表は改造自動車に該当する装置・改造内容になります。

対象装置変更例
原動機型式の異なるエンジンへの載せ替え
動力伝達装置2WDから4WDへの変更、またはその逆
走行装置車軸の追加または減少、アクスルの変更
操縦装置右ハンドルから左ハンドルへの変更
制動装置ドラムブレーキからディスクブレーキへの変更
緩衝装置コイルスプリングからエアサスへの変更
リーフスプリングやシャックルを社外品のものに変更
燃料装置ガソリンからLPGなどへの燃料変更
電気装置走行用バッテリーの種類や定格電圧の変更
車枠及び車体車枠やモノコック車体の切断・延長
連結装置ヒッチボール式連結器などの取付け・変更

ここで紹介しているのは代表例です。実際の取扱いは、変更する装置、使用する部品、取付方法、車両の種類などによって異なります。

これらの変更が改造自動車の届出対象となる場合は、改造内容に応じて、各装置の強度や保安基準への適合性を計算書、検討書、証明書などで示す必要があります。

加えて、届出に必要な届出書、外観図、改造部分詳細図、改造により影響する保安基準への適合説明なども必要となります。

また、改造により原動機の型式が変わったり、寸法が一定範囲外の場合は構造等変更検査になる場合があり、検査をあらためて受ける必要が発生することがあります。


「改造車の書類がいらなくなる」って本当?

クレーマー 九条
クレーマー 九条

社長、2026年10月から改造車の書類審査がなくなるって聞いたんだけど、ホンマか?

これからは、部品を交換してそのまま検査場へ持っていけばええんか?

六車ガレージ社長
六車ガレージ社長

そこは少し注意が必要ですね。

すべての改造について書類審査がなくなるわけではありません。

一定の条件を満たす改造だけが、改造自動車の届出対象から除外され、現車審査だけに移行するという見直しです。

クレーマー 九条
クレーマー 九条

ってことは届出対象外やったら構造変更せんでもええってことか?

六車ガレージ社長
六車ガレージ社長

それも別の話です。

「改造自動車として事前に届け出る必要があるか」と、「車検証の記載内容が変わるため構造等変更検査が必要か」は、分けて考えなければなりません。

制度が見直されたからといって、書類審査自体がなくなるわけではありません。

一定の条件を満たしたものは書類審査の対象から外れる。しかし、装置や寸法が一定範囲を超えて変わった場合はこれまでと同様、構造等変更検査を受ける必要があります。

書類審査がなくなったから構造変更しなくていいは間違いです。


2026年10月1日から何が変わるのか

今回の見直しは、大きく分けて次の2本立てです。

一定の改造を届出対象から除外

同一型式内に設定されている装置や、一般に流通している自動車部品を使用した一定の改造について、安全性が確保されているものとして改造自動車の届出対象から除外します。

対象から除外された改造は、審査方法が次のように変わります。

改正前

事前書面審査+現車審査

改正後

現車審査のみ

つまり、改造した車を検査場へ持ち込む前に行っていた書面審査が、一部の改造では不要になります。

新規検査等届出制度への統合

これまでの改造自動車届出制度は、新規検査等届出制度に統合されます。

改造自動車の審査についても、今後は「新規検査等書面審査要領」に基づいて行われます。

オンライン届出への対応や、複数の届出制度を一本化することで、手続きを効率化することが目的です。

自動車技術総合機構「改造自動車届出制度の見直しについて」

改造自動車をこれまで多く扱ってきた人にとっては、この統合に馴染むまで少し時間がかかるかもしれませんね。


届出対象から除外される改造

今回の見直しで除外されるのは、すべての改造ではありません。

大きく分けて、次の2種類です。

1.同一型式内に設定されている装置を使用する改造

次の条件を満たす改造が対象です。

  • 指定自動車等の改造である
  • 同一の型式内に設定されている装置を使用する
  • OEM車などに設定されている装置を含む
  • 取付方法などを変更せずに使用する
  • 対象装置が動力伝達装置・走行装置・緩衝装置・連結装置のいずれかである

自動車の許容限度が明確になっている場合は、改造する車両と同一、またはそれ以上の許容限度を持つ類別区分番号に設定された装置であることも条件になります。

※「同一の型式」には、自動車排出ガス規制の識別記号(TA、ABAなど)のみが異なるもの、主要構造が同一で、原動機や駆動軸数など一部の仕様が異なるために型式を異にしているもの(通称名が同一の自動車)、主要構造が同一で車名が異なるもの(いわゆるOEM車)を含みます。

条件を満たせば届出対象から除外される可能性がある例

例えば、次のような改造が考えられます。

  • TA-JB23WジムニーのAT仕様を、ABA-JB23Wの純正MT仕様と同じ装置構成へ無加工で変更する
  • スズキ・エブリイ(DA17V)に、主要構造が同じOEM車のマツダ・スクラム(DR17V)に設定された異なる仕様のドライブシャフトを無加工で取り付ける(OEM)
  • 同一世代・同一ボディ・同一駆動方式の200系ハイエースで、ディーゼル車に設定された純正リーフスプリングをガソリン車へ無加工で取り付ける

ただし、これらは車名や型式だけで届出不要と判断できるものではありません。

実際には、使用する装置が該当車両に正式に設定されていること、主要構造が同一であること、許容限度の条件を満たすこと、取付方法などを変更していないことを確認する必要があります。

また、エブリイとスクラムでドライブシャフトの寸法や材質が同一の場合は、そもそも規程上の改造に当たらず、通常の部品交換として扱われる可能性があります。

例えば、あなたがS15シルビアのAT仕様に乗っているとします。

シルビアといえば走りを楽しみたい。でも、自分のシルビアはATだ。

「MTに乗りたいけれど、車ごと買い替えるのはお金がかかる。同じS15には純正のMT仕様があるのだから、MTへ載せ替えられないだろうか」

そう考える人もいるでしょう。

ATからMTへの変更は、動力伝達装置の改造に該当します。

2026年9月30日までは、原則として改造自動車の届出と事前書面審査が必要です。

しかし、2026年10月1日以降は、S15の純正MT仕様に設定された装置を使用し、取付方法などを変更せず、今回の除外条件をすべて満たしていれば、これまで必要だった事前の改造届出が不要になります。

これまで改造車を扱ってきた人にとっては、あの面倒な事前書面審査を省略できる、大きな変更といえるでしょう。

ただし、トランスミッションだけでなく、クラッチ、ペダル、プロペラシャフト、クロスメンバー、配線などを変更・加工する場合は、除外条件を満たさない可能性があります。

2.一般に流通している部品を使用した緩衝装置の改造

次の自動車が対象です。

  • 乗車定員9人以下の乗用自動車
  • 車両総重量3.5トン以下の貨物自動車

さらに、使用する部品についても条件があります。

  • 自動車メーカー、装置メーカーまたは自動車部品メーカーが製作したもの
  • 一般に流通している自動車部品である
  • 取付方法などを変更せずに使用している
  • 緩衝装置の改造である

一般に販売されている部品なら、どの装置でも対象になるわけではありません。

この除外規定は、一般流通部品については「緩衝装置の改造」に限定されています。

一般流通している自動車部品なら何でもいいだろう。という考えは誤りです。

ここで重要なのは、

  • 乗車定員9人以下の乗用自動車
  • 車両総重量3.5トン以下の貨物自動車

かつ、一般流通している緩衝装置のみが対象となります。

例えば、JA11ジムニーのリーフスプリングを社外製のものに変えたとします。

それが商品化され一般流通されていれば、改造自動車の届出を出す必要はありません。

ただし、それを加工、枚数を減らして取り付けた場合は、届出の対象となりえます。


届出不要になっても現車審査は行われる

今回の改正で届出対象から除外される改造は、事前の書面審査が省略されるだけです。

検査時には、実際の車両によって次のような項目が確認されます。

  • 部品の取付状態
  • 改造内容
  • 車両の寸法
  • 車両重量
  • 軸重および輪重
  • タイヤの負荷能力
  • 最低地上高
  • 最大安定傾斜角度などの安定性
  • 各装置の保安基準適合性
  • 車検証の記載内容との相違

改造内容によっては、変更後の車両重量や前後軸重を計算した重量分布計算書など、現車審査に必要な資料を準備しておくことが重要になります。

「事前届出が不要になったから、何も調べずに検査場へ持ち込める」と考えると、当日の審査で必要事項を確認できず、検査が完了しない可能性があります。

検査員に説明を求められた際は、どの車から部品を流用したのか、一般流通されているかどうかを説明できることが重要になってきます。


届出対象外と構造等変更検査は別

ここは特に誤解されやすい部分です。

改造自動車の届出対象から除外されても、改造によって次の事項が変わる場合は、構造等変更検査が必要になることがあります。

  • 長さ
  • 高さ
  • 車両重量
  • 車体の形状
  • 乗車定員
  • 最大積載量
  • 用途
  • 原動機の型式の変更
  • その他、車検証に記録されている事項

今回変わるのは、主として「検査を受ける前の届出と書面審査の取扱い」です。

保安基準そのものや、車検証の記載事項を変更するための手続きが、すべてなくなるわけではありません。


改造自動車審査結果通知書は廃止される

制度の統合に伴い、これまで交付されていた「改造自動車審査結果通知書」は廃止されます。

届出書などの提出先も、原則として、その改造自動車の新規検査・予備検査・構造等変更検査などを申請する運輸支局等と同じ敷地内にある検査事務所等へ変更されます。

届出制度は「新規検査等届出制度」に統合されますが、書面審査が必要な改造そのものがなくなるわけではありません。

対象となる改造は、引き続き事前審査が必要です。


軽自動車の取扱いはどうなる?

軽自動車についても、軽自動車検査協会の検査事務規程改正に伴い、2026年10月から改造自動車等の取扱いが変更されます。

普通車・小型車については自動車技術総合機構、軽自動車については軽自動車検査協会が検査を行うため、実際の届出先が異なります。

軽自動車検査協会も、2026年9月30日までの取扱いについては改正前規程を参照するよう案内しています。

軽自動車検査協会「その他の手続き」


検査員目線で注意したいこと

今回の見直しによって、一部の改造は事前書面審査を通さず、直接現車審査を受けることになります。

申請者にとって手続きが簡単になる一方で、改造内容を事前に整理していなければ、検査当日に判断できないケースが増えることも考えられます。

特に注意したいのは、次のような改造です。

  • 他グレードやOEM車の部品を流用した
  • 改造前後で車両重量が変わった
  • 前後の重量配分が変わった
  • タイヤや車軸にかかる荷重が増えた
  • 純正の取付方法を変更した
  • 溶接、切削、穴あけ、ブラケット製作などを行った
  • 複数の装置を同時に変更した

同一型式内の純正部品や市販部品を使用していても、取付方法を変更していれば、今回の除外条件に該当しない可能性があります。

また、現車だけでは部品の出所や仕様を確認できない場合もあります。

部品番号、カタログ、取扱説明書、取付要領書、改造前後の重量、部品の強度を確認できる資料などは保存しておき、検査時に検査員に説明を求められた際は、提示できるようにしておきましょう。


まとめ

2026年10月1日から、改造自動車の取扱いは次のように変わります。

  • 一定の純正流用改造が届出対象から除外される
  • 一定の市販部品を使った緩衝装置の改造が届出対象から除外される
  • 除外対象は事前書面審査を行わず、現車審査のみになる
  • 改造自動車届出制度が新規検査等届出制度へ統合される
  • オンライン届出が可能になる
  • 改造自動車審査結果通知書が廃止される

ただし、届出対象から除外されても、保安基準への適合や構造等変更検査まで不要になるとは限りません。

今回の見直しは「改造が自由になる制度」ではなく、

安全性を一定程度確認できる改造について、事前書面審査を省略し、現車審査へ移行する制度

と理解するのが適切です。

改造を行う前に、使用する部品、取付方法、変更後の重量や寸法を整理し、判断が難しい場合は検査を受ける事務所へ事前に確認しておきましょう。

クレーマー 九条
クレーマー 九条

一定の安全性が見込めて、現車で確認できるもんは、あらためて事前に書面で審査せんでもよくなったっちゅうことやな。

六車ガレージ社長
六車ガレージ社長

そのとおりです。

ただし、省略されるのはあくまで事前の書面審査です。保安基準への適合確認や、必要に応じた構造等変更検査までなくなるわけではありません。

現車審査では、使用した部品や取付方法などを確認できるよう、関係資料を準備しておくことが大切です。

事前に整理せずに持ち込むと、検査当日に必要な内容を確認できず、その日のうちに検査が完了しない可能性もあります。

クレーマー 九条
クレーマー 九条

書類がいらんから何も準備せんでええ、いう話やないんやな。

胸張って「この車は基準に適合しとる」と言えるよう、準備しとけってことやな!

六車ガレージ社長
六車ガレージ社長

その理解が最も近いですね。

制度が簡略化されても、安全性の確認まで簡略化されるわけではありません。

今回の見直しによって、一部の改造では事前書面審査が省略されます。

しかし、事前に提出していた書類がなくなる分、検査当日に現車だけで確認できる状態にしておくことが、これまで以上に重要になります。

同一型式の純正部品や一般に流通している部品を使用していても、部品の出所や仕様が外観だけでは分からない場合があります。

届出対象外となる改造であっても、次のような資料は残しておきましょう。

  • 部品番号が分かる資料
  • 部品カタログ
  • 取扱説明書
  • 取付要領書
  • 改造前後の写真
  • 変更後の重量や寸法を整理した資料

「事前書面審査がない」と「確認資料がいらない」は、同じ意味ではありません。

検査当日に説明できるかではなく、検査員が改造内容と適合性を確認できる状態になっているかが重要です。

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