近年の保安基準改正の中でも、特に注目されているのが
「後退時車両直後確認装置(リアソナー、バックカメラ)」です。
自動車の安全基準は国際基準との調和により年々強化されており、
後退時の事故防止を目的として新たに義務化された装置の一つです。

検子先輩、最近の車にはバックカメラやリアソナーが付いていますよね。
これは便利装備ではなく、車検でも必要な装置なんですか?
古い車にも後付けしなければならないのでしょうか?

結論から言うとね!
一定の時期以降に製作された対象車には、「後退時車両直後確認装置」が必要なの。
ただし、すでに登録されているすべての車に、バックカメラやリアソナーの後付けが義務付けられたわけではないわ。
新型車、継続生産車、すでに使用されている車では適用関係が異なるから、まずは自分の車が対象なのかを確認してみましょう。
あなたの車は対象?
- ❶2022年5月以降に新たに型式指定を受けた新型車(フルモデルチェンジ・新規車種)
→ リアソナーやバックカメラなどの後退時車両直後確認装置が必要 - ❷2022年5月以前から販売され、2024年11月以降も生産される継続生産車
→ 原則として2024年11月1日から適用
※ 車両区分、製作時期、型式指定時の情報などによって適用関係が異なる場合があります。 - ❸すでに登録済みの車(中古車含む)
→ 原則、後付け義務なし
❶2022年5月以降に発売された新型車の例
| 車種 | 型式 | 発売年月 |
|---|---|---|
| ホンダ N-BOX | JF5 / JF6 | 2023年10月 |
| スズキ スペーシア | MK54S / MK94S | 2023年11月 |
| スズキ ジムニーノマド | JC74W | 2025年4月 |
| 三菱 デリカミニ | B34A / B35A / B37A / B38A | 2023年5月 |
| トヨタ クラウンクロスオーバー | AZSH35 / TZSH35 | 2022年9月 |
| トヨタ プリウス | MXWH60 / MXWH65 / ZVW60 / ZVW65 | 2023年1月 |
| ニッサン サクラ | B6AW | 2022年6月 |
これらは2022年5月以降に新たに型式指定を受けた新型車の例であり、
後退時車両直後確認装置の適用対象となる車種です。
❷に該当する継続生産車
| 車種 | 型式 | 現行モデル発売年月 |
|---|---|---|
| ホンダ N-VAN | JJ1 / JJ2 | 2018年7月 |
| スズキ エブリイ | DA17V / DA17W | 2015年2月 |
| スズキ ジムニー | JB64W | 2018年7月 |
| スズキ ジムニーシエラ | JB74W | 2018年7月 |
| トヨタ ハイエース | 200系(TRH/GDH/KDH系) | 2004年8月 |
こういう 2022年5月より以前に売っていたモデル は
「新型車」ではなく 継続生産車 扱いでした。
なので、これらは後ろ倒しで
2024年11月(当初2024年5月→延期)以降 に順次対応
この記事では、
自動車検査の実務に関わる視点から
後退時車両直後確認装置についてわかりやすく解説します。
結論
後退時車両直後確認装置は、対象となる車に備付けが必要な安全装置です。
ただし、すでに使用されているすべての車に、バックカメラやリアソナーを後付けする義務が生じたわけではありません。
また、対象車では装置が付いているだけでなく、必要な確認範囲または検知性能が確保されていることが重要です。

後退時車両直後確認装置とは?
保安基準の考え方

後退時車両直後確認装置とは、
車両の直後の障害物を運転者が確認できる装置のことを指します。
具体的には次のいずれかが該当します。
- バックカメラ(決められた範囲が確認できること)
- ソナー等の検知システム(標準装備、国際基準に適合したものであること)
- ミラーまたは運転者の直接視界による確認(UN R158で定められた条件を満たす車両に限る。)

バックカメラだけでなく、リアソナーやミラーでもよいのですね。
ということは、どれか一つが付いていれば車検に通るのでしょうか?

装置が付いているだけでは、必ず適合するとは限らないの。
カメラ方式なら必要な範囲を映像で確認できること、検知システムなら決められた範囲の障害物を適切に検知できることなど、装置の方式に応じた基準を満たす必要があるわ。
市販のバックカメラやソナーを取り付けただけで、必ず後退時車両直後確認装置として認められるわけではない点には注意が必要ね。
保安基準改正では、
「車両直後のエリア内の障害物を確認できる装置」を備えることが求められています。
なぜ追加されたのか?
駐車場などで、車両直後にいる子どもや歩行者を運転者が確認できず、接触する事故を防止することが導入の背景にあります。
駐車場や住宅地での
- 子どもの巻き込み事故
- 低速後退時の接触事故
これらを防止するため、
国際基準(UN-R158)が採択され、
日本の保安基準にも導入されました。
つまり、
「見えない死角」を装置で補う安全基準強化です。
現場メモ
以前、事故を目撃しました。
スマホを操作しながら歩いている人がいました。
その人は停車している車の直後で立ち止まり、しゃがみ込んでスマホの画面を見ていました。
車はバックカメラなど備えられていないような古い車でした。
すると、停車していた車のバックランプが点灯し、嫌な予感がしたんです。
案の定、車の運転手は気づかずバックし、接触してしまったんです。
幸い、大きなケガはなかったものの、「バックカメラがあれば防げた事故だったのでは」と考えさせられました。
義務化の適用時期

段階的に義務化されています
- 新型車:令和4年5月以降
- 継続生産車:令和6年
5月
(※延期され11月から適用、実質適用されるのは令和6年11月からの車両が対象)
2022年5月以降に登場する新型車には、
後退時車両直後確認装置の装備が義務化されています。
さらに既存モデルの継続生産車も2024年11月より順次対象となりました。
検査現場での確認ポイント

装置の有無
まず基本は
「確認装置が装備されているか」
対象車両で未装備の場合、
保安基準不適合となります。
保安基準では、「国際基準に適合したリアソナー」または「定められた範囲を確認できるバックカメラ」などにより、車両直後を確認できることが求められています。
正常作動と改造・損傷の確認
検査では、装置の種類に応じて、作動中に確実に機能することや、機能を損なうおそれのある改造・損傷がないことを確認します。
主な確認例は次のとおりです。
- カメラ映像が適切に表示されるか
- 検知システムが障害物を適切に検知するか
- カメラやセンサーに損傷や脱落がないか
- 装置の性能に影響する移設や改造がないか
装置が付いていても、作動しない場合や、機能を損なうおそれのある改造・損傷がある場合は、基準に適合しない可能性があります。
作動しない場合は不適合となります。
カスタム車両の注意点(超重要)

↑リアバンパーを取外した様子

検子先輩、純正のリアソナーが付いている車でも、社外バンパーへ交換すると問題になることがありますか?
センサーを新しいバンパーへ移し替えて、警告音が鳴れば大丈夫なようにも思えるのですが……。

純正の検知システムは、センサーの位置や高さ、取付角度などを含めた状態で、必要な性能を確保するように設計されているの。
そのため、社外バンパーへの交換時にセンサーを移設すると、警告音が鳴っていても、本来必要な範囲を適切に検知できなくなる可能性があるわ。
「センサーが反応するか」だけではなく、改造後も必要な性能が維持されているかが重要なのよ。
この基準が適用される車両には、もともとリアソナーやバックカメラが装備されているケースがほとんどです。
これらは国際基準である
UN R158
(協定規則第158号)
に適合した状態で設計・装着されています。
しかし、
- センサーの取付位置変更
- バンパー交換
- センサーの取外し
- 車高アップ・ローダウンによる取付角度の変化
などを行うと、
本来の検知性能を満たせなくなる可能性があります。
特に注意したいカスタム例は以下のとおりです。
要注意なカスタム例
バンパー交換によるリアソナーの消失
社外バンパーへ交換した際に、
純正リアソナーの取付けができなくなるケースがあります。
この場合、
後退時車両直後確認装置としての性能を満たせなくなる可能性があります。
リフトアップ・ローダウンによるセンサー位置変更
リフトアップやローダウンによって、
リアソナーの高さや照射角度が変化すると、
本来検知できる範囲にズレが生じる場合があります。
特にジムニーなどの車高変更車では注意が必要です。
なぜ問題になるのか?
後退時車両直後確認装置は、
「ただ付いていればよい」
というものではありません。
装置の方式に応じて、必要な確認範囲または検知性能が確保され、確実に機能することが求められます。
そのため、
- センサーの取付位置や角度の変更
- 社外バンパーへの交換
- センサーの取り外し
- カメラの移設
などによって装置の性能に影響が生じた場合は、改造後も必要な性能が確保されていることを確認しなければなりません。
特に、純正センサーの位置や取付角度を変更した場合、元の状態と同等の検知性能が維持されているかを、外観や警告音だけで判断することは困難です。
メーカーは定められた試験条件のもとで装置の性能を確認しているため、個人が改造後の検知性能を客観的に示すことは、簡単ではありません。
そのため、対象車両をカスタムする場合は、
- できる限り純正状態を維持する
- センサーの位置や角度を安易に変更しない
- 社外バンパーを取り付ける前に、装置への影響や部品の適合性を確認する
ことが重要です。
よくある質問
ソナーがないと車検に通らない?

それでは、社外バンパーへの交換で純正ソナーを取り付けられなくなった場合、車検には通らないのでしょうか?

ソナー以外の方法で基準を満たせれば、適合する可能性はあるわ。
例えば、カメラと画像表示装置によって、車両直後の決められた範囲を運転席から確認できるようにする方法ね。
ただし、バックカメラなら何でもよいわけではないの。映る範囲や表示状態、作動条件、取付位置などを含めて確認する必要があるわ。
市販品を後付けする場合は、購入前に必要な範囲を確認できる製品なのか、取付方法も含めて慎重に検討した方がいいわね。
少なくとも、
・自動車の両側面の最外部に接する車両中心線と平行な鉛直面に挟まれた範囲内
に、車両最後端部より0.5m後方及び1.35m後方の車両中心線に直交する鉛直面に沿っ
て地上に引かれた線の全体(下図のオレンジ線)
・自動車の両側面の最外部に接する車両中心線と平行な鉛直面及び車両最後端部よ
り3.5m後方の車両中心線に直交する鉛直面の内側に、互いに交わる鉛直面に接する
ように車両中心線に対して対称に地上に設置された高さ80cm直径30cmの円柱の全体
が確認できるものであることと定められています。

対象となる車両範囲
原則として
- 乗用車
- 軽自動車
- トラック
- バス
など、ほぼすべての四輪車が対象です。
(二輪車・一部特殊車は除外)
今後の検査実務への影響
今後は
- 新型車=ほぼ100%装着済み
- 法規対応センサー標準装備車の増加
- センサーの性能に影響するカスタムでは、改造後の検知性能を確認するか、基準に適合する別の確認方法を確保する必要がある
例として、最近の車種では
法規対応でリアソナー標準装備化も進んでいます。
つまり検査では
「確認しない時代 → 作動確認する時代」
へ変化しています。

継続生産車への適用が2024年11月からなら、継続検査でもすぐに確認する機会が増えるのでしょうか?

車種や用途によって、増え始める時期は異なるわ。
例えば、初回車検が2年の自家用貨物車などは、2026年11月頃から継続検査で確認する機会が増えると考えられるの。
一方、初回車検が3年の乗用車や軽乗用車では、2027年11月頃から本格的に増えてくるわね。

今後は、カメラやソナーが付いているかだけでなく、機能を損なうような損傷や改造がないかを確認する機会も増えていくと思うわ。
特に、リアバンパーの交換、センサーの移設、カメラの取付位置変更などが行われた車は注意が必要ね。
まとめ
近年の保安基準改正により、
後退時車両直後確認装置は
単なる便利装備ではなく、
「安全基準上の重要装置」として位置付けられるようになりました。
特に、
- 2022年5月以降の新型車
- 2024年11月以降の継続生産車
については、
装置の有無だけでなく、
正常に機能しているかどうかも
保安基準適合性の判断対象となります。
そのため、
- バンパー交換
- リフトアップ
- ローダウン
- 架装変更
などを行う際には、
リアソナーやバックカメラの性能に
影響を与えないことが重要になります。
今後はカスタム車両や架装車両の検査においても、
「後退時の安全確認が適切に行えるか」
という観点から、
より実務的な確認が求められていくでしょう。
安全確保と法規適合を両立するためにも、
後退時車両直後確認装置は、
これからの車検・検査実務において
欠かせない重要項目の一つと言えます。

バックカメラやリアソナーは、単なる駐車支援の便利な装備ではないのですね。
適用対象車では、取り外したり位置を変更したりすると、車検にも影響する可能性があることが分かりました。

そのとおりよ。
後退時車両直後確認装置は、車の後ろにいる子どもや歩行者との事故を防ぐための重要な安全装置なの。
対象車をカスタムするときは、装置が作動するかだけでなく、必要な確認範囲や検知性能を損なわないことまで考える必要があるわ。
自分の車が対象か分からない場合や、バンパー交換などを予定している場合は、作業前に車両情報と部品の適合性を確認しておきましょう。
参考資料
・道路運送車両の保安基準 第44条の2「後退時車両直後確認装置」
・道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第2節 第146条の2「後退時車両直後確認装置」
・自動車技術総合機構 審査事務規程 7-108・8-108「後退時車両直後確認装置」



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