車検前には、灯火類、タイヤ、ガラス、警告灯、下回り、必要書類などを事前に確認することが大切です。
この記事では、自分で確認できる項目と、整備工場や検査機器による確認が必要な項目を、実際に使えるチェックリストとともに解説します。
ただし、このチェックリストは点検整備記録簿の代わりとして使用することはできません。
初めての持込検査!どこを確認すればいい?
朝、六車ガレージに出勤した新治へ、社長から急な仕事が伝えられました。
本日、完成検査を担当する予定だった検子が休みになり、自社で完成検査を行える検査員が不在となったのです。
しかし、車検で預かっている車は、すでに点検整備が終わっています。お客様への納車予定も迫っているため、今回は運輸支局または軽自動車検査協会へ車を持ち込み、検査を受けることになりました。
そして、その役目を任されたのが新人の新治です。

整子先輩、大変です!
今日は検子先輩がお休みなので、この車を検査場へ持ち込むように言われました。
でも、持込検査では何を見られるのでしょうか?
整備は終わっていると聞いていますが、このまま持っていって大丈夫なのか不安です。

落ち着きなさい。
点検整備が終わっていても、検査場へ行く前の最終確認は必要よ。
灯火類の不点灯やウォッシャー液の不足、車内の荷物による視界不良など、整備後に発生した不具合や見落としがないとは限らないからね。

検査場へ行く前に、もう一度すべて点検するということですか?

点検整備を最初からやり直すわけではないわ。
まずは、この「車検前チェックリスト」を使って、検査で確認される主な項目を順番に見ていきましょう。
自分で確認できる項目と、整備記録や測定結果を確認する項目に分けて考えるのがポイントよ。
車検前・最終チェックリスト
※各項目の詳しい確認方法は、チェックリストのあとで解説します。
車検前・最終チェックリスト
確認できた項目にチェックを入れてください。 チェックした内容は、この端末に自動保存されます。
ご注意ください
このチェックリストは、法定点検の結果を記録する点検整備記録簿として使用することはできません。
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1灯火類・警音器
ブレーキランプなどは、できれば2人で確認しましょう。
2タイヤ・ホイール・外装
3ガラス・ワイパー・視界
4室内・安全装置
5下回り・エンジン・排気系
下回りには自分で見つけにくい不具合があります。不安な場合は、整備工場で点検を受けてください。
6検査機器で確認する項目
自宅では正確に測定できない項目です。必要に応じて整備工場や予備検査場を利用してください。
7予約・書類・当日の準備
このチェックリストは、車検前の確認を補助するためのものです。 車両の年式・用途・構造・改造内容などによって適用される基準は異なります。 すべてにチェックが入っていても、車検への合格を保証するものではありません。 判断が難しい部分や安全に関わる部分は、整備工場などへご相談ください。
このチェックリストには、自分で確認できる項目と、整備士や検査機器による確認が必要な項目が含まれています。実際に確認できた項目だけにチェックを入れ、判断できない項目は無理にチェックしないでください。
車検前チェックリストはどう使う?

チェックリストには、灯火類から下回り、検査機器で測定する項目までありますね。
上から順番にチェックすればよいのでしょうか?

基本的には上から順番で大丈夫よ。
ただし、チェックを入れるのは、実際に確認できた項目だけにしてね。
「整備済みだから、おそらく大丈夫」という理由だけでチェックを入れてはいけないわ。
私はほかの車の整備があるから、まずは自分で確認できる項目からチェックしてみて。
チェックリストの基本ルール
整子が新治に教えた使い方は、次の3つです。
- 実際に確認できた項目だけにチェックを入れる
- 判断できない項目は無理にチェックしない
- 自分で確認できない項目は、整備記録や測定結果を確認する

整子先輩、僕は持込検査が初めてなので、不安です。
各項目の確認方法を、もう少し詳しく教えてもらえませんか?

仕方ないわね。❶から❼まで、順番に確認方法を教えてあげる。
検査場へ向かう前に、しっかり覚えておきなさい。
❶ 灯火類・警音器
まずは、ヘッドライトやウインカーなどの灯火類が正常に点灯・点滅するか確認しましょう。
確認は、できれば2人で行うことをおすすめします。ブレーキランプやバックランプは、運転席から一人で確認することが難しいためです。
ハイマウントストップランプは、車種や年式によって装備されていない場合があります。装備されている場合は、ブレーキ操作に連動して正常に点灯するか確認してください。
最後に、ホーンが正常に鳴ることも確認しましょう。

出発前は点灯していても、本番の検査中に球切れを起こすことは珍しくないわ。
だから、できるだけ時間に余裕を持って検査を受けることが大切よ。不点灯を指摘されても、電球を交換して再検査を受けられる場合があるからね。
❷ タイヤ・ホイール・外装
次は、タイヤや外装周りを確認しましょう。
タイヤの溝が十分に残っているか、著しいひび割れや損傷がないか、空気圧が適切かを確認してください。
あわせて、ホイールナットに緩みや脱落がないか、タイヤやホイールがフェンダーから不適切に突出していないかも確認しましょう。
外装については、鋭い突起や危険な損傷がないか、バックミラーの鏡面に著しいひび割れがないか、取付部にガタがないかを確認します。
最後に、後部反射器が適切に備えられ、著しい損傷がないことも確認してください。
❸ ガラス・ワイパー・視界
次は、ガラスやワイパーなど、運転者の視界に関係する部分を確認しましょう。
まず、フロントガラスに飛び石などによるひび割れや損傷がないか確認してください。
あわせて、フロントガラスや運転席・助手席の窓ガラスに、基準に適合しないフィルムや貼付物、装飾品がないか確認しましょう。
フィルムは、貼られているだけで直ちに不適合になるとは限りません。ただし、対象となるガラスの可視光線透過率が70%未満の場合は不適合となるため、必要に応じて測定されます。
最後に、ワイパーが正常に作動して十分に拭き取れるか、ウォッシャー液が正常に噴射されるかも確認しておきましょう。
❹ 室内・安全装置
次は、座席周りを確認しましょう。
座席が確実に取り付けられ、取付部に著しいガタがないか、シートベルトが正常に引き出せるか、バックルが確実に固定されるかを確認してください。また、必要な座席にヘッドレストが取り付けられているかも確認しましょう。
メーターパネルの警告灯が正常に作動することも重要です。エンジンを始動したあと、エンジン、ABS、エアバッグなどの警告灯が消灯するか確認してください。これらの警告灯が点灯したままの場合は、該当する検査を受けられないことがあるため、事前に整備工場で原因を確認しましょう。
また、意外に多いのが、非常信号用具が備えられていないケースです。助手席の足元に設置されている車が多いため、車検前に、必要なときにすぐ取り出せる状態で備えられているか確認しておきましょう。
❺ 下回り・エンジン・排気系
次は、下回り・エンジン・排気系を確認しましょう。
リフトなどの専用設備がないと確認しにくい部分ですが、異常の兆候であれば自分で確認できる場合があります。
まず、車を平坦な場所にしばらく停車させ、エンジンやトランスミッションの下にオイルなどが垂れていないか確認しましょう。ただし、地面に漏れた跡がないからといって、油漏れがないとは限りません。
ハンドルを左右どちらかへいっぱいに切ると、タイヤと車体の隙間から、ドライブシャフトブーツなど一部のゴム部品を確認できます。破れやグリスの飛散がないか見てみましょう。
マフラーに穴や排気漏れがあると、排気音が大きくなったり、普段とは違う音が発生したりすることがあります。ただし、小さな排気漏れは音だけでは分からない場合があります。
また、走行中にハンドルの著しいガタやふらつき、足回りからの異音を感じる場合は、無理に確認を続けず、整備工場で点検を受けてください。

車体の下へ無理に潜り込んだり、ジャッキだけで持ち上げた車の下へ入ったりしてはいけないわ。車が落下すると、命に関わる重大な事故につながるからね。
自分で安全に確認できない部分や、判断が難しい部分は、無理をせず整備工場へ点検を依頼しましょう。
❻ 検査機器で確認する項目
次は、いよいよ検査機器による確認です。これらの項目を、目視だけで正確に判断することは困難です。
一番厄介なのが、ヘッドライトの光度・光軸検査です。ヘッドライトの照射方向は、走行時の振動や足回りの変化などによってずれることがあります。
また、社外品のLED・HIDバルブへ交換している場合、配光が安定せず、適切に調整しても基準を満たせないことがあります。プロの整備士でも調整に苦労する項目です。
サイドスリップも、不適合になりやすい項目の一つです。車高を上げたり下げたりするためにサスペンションを変更した車、足回りをぶつけた車、足回りの部品交換後に適切な調整をしていない車は、特に注意が必要です。
ブレーキ検査では、主ブレーキと駐車ブレーキの効き具合などを測定します。適切に整備されていない場合は、不適合になる可能性があります。
スピードメーター検査では、タイヤ外径の変更などによって生じる表示速度と実際の速度の差を確認します。タイヤ外径を純正より大きくすると実際の速度が高くなる方向へ、小さくすると低くなる方向へ誤差が生じるため、基準範囲を超えないか確認が必要です。
排気ガス検査でも、エンジンや排出ガス浄化装置などに不具合があると、基準値を超えることがあります。
OBD検査の対象車では、車載式故障診断装置に記録された特定の故障コードも確認されます。警告灯が消えていても不適合となる場合があるため、不安があれば事前に診断機で確認してもらいましょう。

これらの項目を、自分で正確に測定するのは難しいわ。
少しでも不安がある場合は、検査を受ける前に整備工場や予備検査場で確認してもらいましょう。
確認不足による不適合を減らすには、検査前の準備がとても大切よ。
❼ 予約・書類・当日の準備
車両のチェックが終わっても、まだ忘れてはいけないことがあります。車検に必要な予約と書類の確認です。
検査場へ車を持ち込んで検査を受ける場合は、事前予約が必要です。予約せずに検査場へ行っても、当日の予約状況によっては検査を受けられないため、予約日時と検査場を必ず確認しておきましょう。
車検証は、継続検査の手続きに必要です。原本を忘れずに持参してください。
自賠責保険証明書も、あらかじめ準備しておきましょう。現在加入している自賠責保険の有効期間が残っている場合は、現在の証明書と、継続後の車検期間を満たす新しい証明書の両方が必要になることがあります。
また、自動車税または軽自動車税に滞納があると、検査に合格しても車検証の有効期間を更新できません。現在は納付状況を電子的に確認できるため、原則として納税証明書の提示を省略できます。
ただし、納付して間もない場合やシステム上で納付状況を確認できない場合などは、納税証明書の提示が必要になることがあります。納付直後に車検を受ける場合は、有効な納税証明書を持参すると安心です。
定期点検整備を実施して点検整備記録簿がある場合は、あわせて持参しましょう。
このほか、継続検査申請書、自動車検査票、自動車重量税納付書などが必要です。検査場で入手できる書類もありますが、提出先によって手続きが異なるため、事前に公式サイトで確認しておきましょう。

検査時間は、一般的に第1ラウンドから第4ラウンドまでに分かれているわ。
第3・第4ラウンドは午後の検査になるから、不適合箇所が見つかった場合、修理や再検査が当日中に間に合わないこともあるの。
特に初めて持込検査を受けるなら、できるだけ早い時間帯を予約して、時間に余裕を持って検査場へ向かうことをおすすめするわ。
まとめ
今回は、検子が不在のため初めて持込検査へ行くことになった新治と一緒に、車検前に確認しておきたい項目をチェックしてきました。
車検で確認される項目は、灯火類やタイヤなど、自分で確認しやすいものだけではありません。
- 灯火類・警音器
- タイヤ・ホイール・外装
- ガラス・ワイパー・視界
- 座席・シートベルト・警告灯
- 下回り・エンジン・排気系
- ヘッドライトやブレーキなどの測定項目
- 予約・必要書類
これらを事前に確認しておくことで、確認不足による不適合や再検査のリスクを減らせます。
ただし、すべての項目を自分で正確に判断できるわけではありません。特に、ブレーキや足回り、ヘッドライトの光軸、サイドスリップなどは、専門的な知識や検査機器が必要です。
分からない項目を「おそらく大丈夫」と判断せず、自分で確認できる部分と、整備工場や予備検査場へ任せる部分を分けて考えましょう。

チェックリストを使って確認してみると、車検では車のいろいろな部分を見られることが分かりました。
整備が終わっていても、出発前の最終確認や書類の準備は必要なのですね。

そのとおり。
車検へ一度で合格するために大切なのは、特別なことをするのではなく、確認できる項目を一つずつ確実に確認することよ。
ただし、車検への合格と、次の車検まで安全に乗れることは同じではないわ。車検に通すことだけを目的にせず、必要な点検整備もしっかり行ってね。
チェックリストを活用して、時間と費用に余裕を持って車検の準備を進めましょう。



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