車にキャリアやスポイラーなどの部品を取り付けるとき、「指定部品」という言葉を聞くことがあります。
指定部品であれば、車の寸法などが変わっても、一定の条件では自動車検査証の記載事項を変更する手続きや構造等変更検査が不要になります。
しかし、
「指定部品なら何を付けても車検に通る」
という意味ではありません。
指定部品かどうかだけでなく、部品の取付方法や、取り付けた状態で保安基準に適合しているかも重要です。
この記事では、指定部品について初めて調べる人に向けて、指定部品・指定外部品・取付方法の基本を検子と新治が解説します。
「指定部品なら何を付けても大丈夫」ではない

検子先輩、「指定部品」っていう部品があるんですよね。
指定部品なら車に取り付けても、そのまま車検に通るってことですか?

そこは少し違うわ。
「指定部品だから保安基準を気にしなくていい」という制度ではないの。
まず覚えてほしいのは、
どんな部品を取り付ける場合でも、取り付けた状態の自動車が保安基準に適合している必要がある
ということよ。

指定部品でもダメな場合があるんですか?

もちろん。例えば「車検対応」と表示されている部品でも、取り付ける車や取付方法によっては保安基準に適合しなくなることがあるの。
指定部品について考えるときは、
①何を取り付けたのか
②どのように取り付けたのか
③取り付けた状態で保安基準に適合しているか
この3つを分けて考えると分かりやすいわ。
指定部品とは?
指定部品とは、自動車ユーザーの好みによって追加や変更などをする可能性が高く、安全の確保や公害の防止上支障が少ないものとして、国の通達で定められている自動車部品です。
一定の取付方法で指定部品を取り付けた場合には、その部品を取り付けたことによって車の寸法などが変化しても、自動車検査証の記載事項を変更する手続きや構造等変更検査を行わなくてもよい場合があります。
指定部品というと、エアロパーツやルーフキャリアなどの外装品をイメージしがちですが、実際にはタイヤ、ホイール、コイルスプリング、マフラー、ミラーなど、走行や安全に関係する部品も指定部品に含まれます。
指定部品の例

| 分類 | 指定部品の例 |
|---|---|
| 車体まわり・空気流関係 | エアスポイラー、エアダム、フードウインドデフレクター、フードスクープ、ルーバー、フェンダースカート、ランニングボード、その他エアロパーツ類 |
| 荷物運搬関係 | ルーフラック、エンクローズド・ラゲージ・キャリア(ルーフボックス等)、バイクラック、スキーラック、その他ラック類 |
| 車体まわり・その他 | サンルーフ、コンバーチブルトップ、キャンパーシェル、窓フィルム、キャンピングカー用日除け、ロールバー、バンパーガード、フェンダーカバー、灯火器カバー、グリルガード、プッシュバー、ドアプロテクター、アンダーガード、ラダー、各種バイザー、ウインチ、けん引フック、トウバー、ロープフック、水・泥はねよけ、アンテナ、トラックベッドライナー、ボディサイドモール、コーナーポール、各種センサー、後方監視用カメラ、車間距離警報装置など |
| 原動機・排気系統関係 | リモコンエンジンスターター、エキゾーストパイプチップ/エクステンション |
| 車室内装備 | 空気清浄器、エアコン、ナビゲーション、無線機、自動車電話、オーディオ、その他音響機器、盗難警報システム、エアバッグ |
| その他アクセサリー | ナンバー取付ステー、任意灯火器類 |
| 走行装置関係 | タイヤ、ホイール |
| 操縦装置関係 | ステアリングホイール、パワーステアリング、変速レバー |
| 緩衝装置関係 | コイルスプリング、ショックアブソーバー、ストラット、ストラットタワーバー |
| 連結装置関係 | トレーラーヒッチ、ボールカプラ |
| 騒音防止装置関係 | マフラー、排気管 |
| その他の機能部品 | 規定灯火器類、ミラー、ディーゼル微粒子除去装置(酸化触媒、DPF等) |

タイヤやマフラーまで指定部品なんですか? エアロパーツだけだと思ってました。

そうなの。指定部品にはアクセサリーだけじゃなく、車の走行や機能に関係する部品も含まれているのよ。ただし、指定部品だからといって何でも認められるわけではなく、取り付けた状態で保安基準に適合していることが前提なの。
つまり、「指定部品=そのまま車検OK」ではないということね。
例えば、タイヤやホイールを交換した場合でも、車体から不適切に突出していないことなど、保安基準に適合している必要があります。
マフラーについても同じで、指定部品に該当するものであっても、騒音などの基準に適合していなければ車検には通りません。
指定外部品とは?
指定外部品とは、指定部品として定められていない自動車部品のことです。
指定外部品だからといって、取り付けること自体が禁止されているわけではありません。
ただし、指定外部品を取り付けたことによって車の長さ・幅・高さ・重量などが変化した場合は、その変化量や取付方法によって、自動車検査証の記載事項変更や構造等変更検査が必要になることがあります。
指定外部品の例としては、トラックの骨組み幌やリーフスプリングなどがあります。ただし、部品の見た目や大きさ、用途だけで、指定部品か指定外部品かを判断することはできません。
「カスタムパーツだから指定外部品」「大きな部品だから指定外部品」というわけではなく、国の通達で指定部品として定められているかどうかによって区分されます。指定部品の一覧に含まれていない部品は、原則として指定外部品として扱われます。
指定外部品を取り付ける場合は、次の点を確認することが重要です。
- どのような部品を取り付けたか
- どのような方法で取り付けたか
- 車の寸法や重量がどの程度変化したか
- 取り付けた状態で保安基準に適合しているか
なお、「指定外部品=車検に通らない部品」ではありません。
指定外部品であっても、必要な手続きを行い、取り付けた状態で保安基準に適合していれば使用できる場合があります。
指定部品か指定外部品かという区分は、主に記載事項変更や構造等変更検査が必要になるかを判断するための要素の一つと考えると分かりやすいでしょう。
部品の取付方法は3種類に分けて考える
部品を取り付けた場合の手続きの要否を判断するときは、指定部品・指定外部品の区分だけでなく、どのような方法で車に取り付けられているかも重要です。
取付方法は、大きく次の3つに分けて考えます。
- 簡易的取付方法
- 固定的取付方法
- 恒久的取付方法
同じ部品であっても、取付方法によって取扱いが変わる場合があります。
そのため、
「何を取り付けたか」だけでなく、「どのように取り付けたか」まで確認することが重要です。
簡易的取付方法とは?

簡易的取付方法とは、手で容易に着脱できる取付方法です。
例えば、ベルトや蝶ネジなどで固定され、手で容易に着脱できるものが該当する場合があります。
固定的取付方法とは?

固定的取付方法とは、ボルトやナット、接着剤などを使用して取り付ける方法です。
工具などを使用すれば取り外すことはできますが、通常の使用状態では簡単には外れないように固定されています。
自動車用品では、この固定的取付方法に該当するものが多くあります。
恒久的取付方法とは?

恒久的取付方法とは、溶接またはリベットにより取り付けられ、容易に取り外すことができない取付方法です。
車体と一体化するような取付方法になるため、固定的取付方法よりも車両の構造に与える影響が大きくなります。
取付方法を判断するときは、単に「外せるかどうか」だけではなく、どのような方法で車体に固定されているかを確認することが重要です。
部品と取付方法の組合せで取扱いが変わる

指定部品と指定外部品、それから3種類の取付方法が出てきましたけど、組合せが多くて混乱してきました。
結局、どの場合に手続きが不要になるんですか?

それでは、部品の種類と取付方法を組み合わせて整理してみましょう。まずは、次のフローチャートに沿って確認すると分かりやすいわ。
部品を取り付けたときの手続き判定フローチャート

このフローチャートは、主に長さ・幅・高さ・車両重量の変更手続きに関する基本的な考え方です。手続きが不要な場合でも、取り付けた状態で保安基準に適合している必要があります。
部品と取付方法の組合せを一覧表で確認
| 部品と取付方法の組合せ | 寸法・重量の変更に関する基本的な取扱い |
|---|---|
| 自動車部品を簡易的取付方法で取り付けた場合 | 指定部品・指定外部品を問わず、原則として記載事項に変更があったものとして扱わない |
| 指定部品を固定的取付方法で取り付けた場合 | 寸法や重量が変化しても、原則として記載事項に変更があったものとして扱わない |
| 指定部品を恒久的取付方法で取り付けた場合 | 寸法・重量の変化が一定範囲内であれば、記載事項に変更があったものとして扱わない |
| 指定外部品を固定的・恒久的取付方法で取り付けた場合 | 寸法・重量の変化が一定範囲内であれば、記載事項に変更があったものとして扱わない |

指定外部品でも、手で簡単に取り外せるように取り付けていれば、寸法が変わっても手続きが不要になる場合があるんですね。

そういうこと。
例えば、トラックの荷台に取り付ける骨組み幌は指定外部品だけど、蝶ネジなどを使って手で容易に着脱できる構造であれば、簡易的取付方法として扱われる場合があるの。
ただし、蝶ネジを使っていれば必ず簡易的取付方法になるわけではありません。
実際に手で容易に着脱できる構造になっているかどうかで判断する必要があります。
また、簡易的取付方法であっても、取り付けた状態の自動車が保安基準に適合していなければ使用できません。
「一定範囲内の変更」とは?
指定部品を恒久的取付方法で取り付けた場合や、指定外部品を固定的・恒久的取付方法で取り付けた場合でも、寸法や重量の変化が次の範囲内であれば、原則として自動車検査証の記載事項に変更があったものとして扱われません。
寸法の変化
| 項目 | 変更が認められる範囲 |
|---|---|
| 長さ | ±3cm |
| 幅 | ±2cm |
| 高さ | ±4cm |
車両重量の変化
| 自動車の種別 | 変更が認められる範囲 |
|---|---|
| 検査対象軽自動車・小型自動車 | ±50kg |
| 普通自動車・大型特殊自動車 | ±100kg |

例えば、指定外部品をボルトで取り付けても、幅の変化が2cm以内なら、すぐに構造等変更検査が必要になるわけではないんですね。

そのとおりよ。
ただし、幅の「±2cm」は車両全体の変化量だから、左右それぞれ2cmずつという意味ではない点に注意してね。左右均等に広がる場合は、片側約1cmが目安になるわ。
また、この範囲を超えたからといって、直ちに「違法改造」になるわけでもないの。必要な記載事項変更や構造等変更検査を受け、保安基準に適合していれば使用できる場合があるわ。
指定部品でも保安基準に適合しないことがある

指定部品を一定の方法で取り付ければ、寸法や重量が変わっても手続きが不要になることは分かりました。
それなら、指定部品を取り付けた車は、そのまま車検に通ると考えていいんですよね?

それは違うわ。
指定部品の取扱いによって不要になるのは、主に長さ・幅・高さ・重量の変化に伴う自動車検査証の記載事項変更や構造等変更検査の手続きなの。
さっきも言った通り、取り付けた部品や自動車が、保安基準に適合していると認められる制度ではないのよ。
自動車検査では、部品単体ではなく、その部品を取り付けた状態の自動車が保安基準に適合しているか確認されます。
これは「車検対応」と表示されている部品についても同じです。自動車技術総合機構のFAQでも、装着する自動車や取付方法によっては基準不適合になると説明されています。
指定部品でも基準不適合になる例
| 指定部品の例 | 保安基準に適合しなくなる主な例 |
|---|---|
| タイヤ・ホイール | 回転部分が車体から不適切に突出している、車体やブレーキ部品などと干渉している |
| マフラー・排気管 | 騒音基準に適合していない、排気漏れがある、確実に取り付けられていない |
| 窓フィルム | 前面ガラスや運転者席・助手席の側面ガラスで、貼付状態の可視光線透過率が70%未満になっている |
| エアスポイラー・ウイング | 車体の最外側や最後端となっている、鋭い角部がある、確実に固定されていない |
| 灯火器類 | 灯光の色、個数、取付位置、見通し範囲などが、その灯火器に定められた基準に適合していない |
| コイルスプリング・ショックアブソーバー | 車高が下がって最低地上高を確保できない、タイヤや車体などが干渉する |
| ミラー | 鋭い突起がある、必要な視界を確保できない、確実に取り付けられていない |
タイヤやホイールが車体から突出している
タイヤやホイールは指定部品ですが、交換後の回転部分が車体から不適切に突出している場合は、保安基準に適合しません。
また、車体から突出していなくても、タイヤが車体やサスペンション、ブレーキ部品などと干渉する場合があります。

指定部品のホイールなら、どの車にも取り付けられるわけではないんですね。

そうよ。ホイールの幅やインセット、タイヤサイズなどによって、取り付けた状態は変わるからね。
指定部品かどうかではなく、その車との組合せまで確認する必要があるの。
国土交通省も、回転部分が突出して他の交通の安全を妨げるおそれがある状態を、不正改造の例として示しています。国土交通省「不正改造の具体例」

タイヤやホイールの突出については、こちらの記事で詳しく解説しているわ。
マフラーの騒音が基準を超えている
マフラーや排気管も指定部品に含まれます。
しかし、交換後の排気騒音が基準に適合していない場合や、消音機能が損なわれている場合には車検に通りません。
「車検対応」と表示されたマフラーでも、適合する車種や型式を間違えていたり、内部を加工していたりすれば、基準不適合になる可能性があります。
窓フィルムを貼って透過率が不足している
窓フィルムも指定部品ですが、どのガラスにも自由に貼れるわけではありません。
前面ガラスや運転者席・助手席の側面ガラスについては、フィルムを貼った状態で可視光線透過率70%以上を確保する必要があります。
フィルム単体の性能だけでなく、ガラスと組み合わせた状態で判断される点に注意が必要です。
エアスポイラーに鋭い突起がある
エアスポイラーやウイングなどのエアロパーツも指定部品です。
しかし、鋭い角部がある、車体から不適切に突出している、確実に取り付けられていないなど、歩行者やほかの交通に危害を与えるおそれがある状態では保安基準に適合しません。
指定部品制度によって寸法変更の手続きが不要になっても、車体形状に関する基準まで免除されるわけではありません。
コイルスプリングの交換で最低地上高が不足している
コイルスプリングやショックアブソーバーも指定部品です。
そのため、一定の取付方法で交換した場合には、車高が変化しても記載事項変更や構造等変更検査が不要になる場合があります。
しかし、車高を下げたことによって最低地上高を確保できなくなれば、保安基準に適合しません。
さらに、タイヤと車体の干渉、灯火器の取付高さなど、別の基準に影響する可能性もあります。

最低地上高については、こちらの記事で詳しく解説しているわ。
まとめ

指定部品を一定の方法で取り付けた場合は、車の寸法や重量が変化しても、自動車検査証の記載事項変更や構造等変更検査が不要になることがあります。
ただし、指定部品は「取り付ければそのまま車検に通る部品」という意味ではありません。
部品を取り付けるときは、次の順番で確認することが重要です。
- 指定部品か指定外部品か
- 簡易的・固定的・恒久的のどの取付方法か
- 寸法や重量がどの程度変化したか
- 取り付けた状態で保安基準に適合しているか
指定外部品であっても、取り付けること自体が禁止されているわけではありません。反対に、指定部品であっても、タイヤの突出、マフラーの騒音、最低地上高の不足などがあれば、保安基準に適合しない場合があります。

指定部品かどうかだけでは、車検に通るか判断できないんですね。

そういうこと。
「何を、どのように取り付け、その状態で保安基準に適合しているか」
この3点を分けて考えることが大切よ。
判断が難しい改造や部品の取り付けを行う場合は、作業前に運輸支局や軽自動車検査協会、専門知識のある整備工場などへ確認しましょう。



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