ジムニーのカスタムで、特に誤解されやすいのが「ハミタイ(回転部分の突出)」です。
インターネットでは「タイヤは1cmまでなら出ても大丈夫」と説明されることがありますが、これはすべてのジムニーや部品に当てはまるわけではありません。
実際には、次のような条件によって車検での判断が変わります。
- 突出しているのがタイヤ・ホイール・ナットのどれか
- 乗用車登録か貨物車登録か
- 前方30°・後方50°の確認範囲に収まっているか
- オーバーフェンダーやフェンダーモールが確実に取り付けられているか
特に、JA11などの貨物登録車や、ロングナット、引っ張りタイヤ、スペーサーを装着した車両は注意が必要です。
この記事では、ジムニーのハミタイが車検で問題となる条件、タイヤに限って認められる「10mm未満」の取扱い、回転部分が突出していた場合の対策について、検査員目線で分かりやすく解説します。
まずは、よくある「ハミタイは1cmまでなら大丈夫」という認識が、なぜ正確ではないのか確認していきましょう。
ジムニーのタイヤ突出は条件次第で車検NG!

ネットに書いてあったんやけど、ハミタイは1cmまでなら大丈夫なんやろ?
俺のジムニーも1cm以内のはみ出しのはずやのに、なんであかんねん?

結論から申し上げますと、10mm未満の取扱いがあるのは、一定の条件を満たしたタイヤ部分だけです。
ホイールやホイールナットがフェンダーより外側へ突出している場合は、わずかであっても適合しません。
また、「1cmまで」ではなく、正確には「10mm未満」です。10mmちょうどは、この取扱いの対象になりません。

ほな、ホイールとナットが出てへんかったら、タイヤは10mm未満まで出てもええっちゅうことやな?

それも、すべての車に当てはまるわけではありません。
この取扱いが適用されるのは、乗車定員10人未満の専ら乗用の用に供する自動車です。
貨物車には適用されないため、JA11などの貨物登録車は注意が必要です。
| 部位 | 乗用車 | 貨物車 |
|---|---|---|
| タイヤ | 10mm未満なら「突出していないもの」とみなされる場合あり※ | NG |
| ホイール | NG | NG |
| ホイールナット | NG | NG |
| ホイールキャップ | NG | NG |
※この緩和が適用されるのは、あくまで「前30°・後50°の範囲内で最外側になっているのがタイヤ自体である場合」に限られます。ホイールのリムが最外側に出ている、いわゆる「引っ張りタイヤ」の状態では、突出量が10mm未満であっても適合しません。また貨物車(JA11ジムニーなど)や乗車定員10人以上の自動車には、この10mm緩和そのものが適用されません。
特にロングナットやスペーサー装着車は注意が必要です。


この状態で回転部分が突出していたら不適合ね。どうすれば基準に適合できるんだろう。
ハミタイ(回転部分突出)とは何か?

回転部分突出とは、タイヤ・ホイールなどの回転する部分が車体外側に突出している状態を指します。
保安基準では、歩行者保護および安全確保の観点から、回転部分が露出している車両は不適合となります。
特に検査で確認されるのは以下です。
- タイヤやホイールの外側がフェンダーからはみ出している
- ホイールのリムが露出している
- トレッド拡大による外側突出
- 事故等によりフェンダーがへこんで実質タイヤが突出している
なぜ「ハミタイ(回転部分の突出)」が危険なのか?
「少しくらいタイヤやナットが出ていても大丈夫でしょ?」と思われることもあります。
ですが、回転部分の突出は、歩行者や周囲の交通に危険を及ぼす可能性があるため、保安基準でも厳しく確認されるポイントです。
歩行者へ接触した際の危険性
タイヤやホイールは走行中に高速回転しています。
もし歩行者と接触した場合、突出したホイールやナットが衣服や身体に引っ掛かることで、被害を大きくしてしまうおそれがあります。
特に、
- ロングナット
- スピンナー風パーツ
- 鋭利な装飾部品
などは危険性が高く、突起物として厳しく見られる傾向があります。
自転車・バイクとの接触リスク
狭い道路やすれ違い時では、自転車やバイクが車両側面付近を通行するケースもあります。
その際、突出した回転部分が接触すると、
- タイヤへ接触して転倒
- 衣類の巻き込み
- ハンドル操作への影響
などにつながる可能性があります。
「少しだけだから大丈夫」と思っていても、走行中の回転体は想像以上に危険です。
タイヤ脱落事故との関係
近年は、タイヤ脱落事故も大きな社会問題となっています。
特に、
- ユーザー自身による脱着
- スペーサー装着
- 締付け不良、増し締め未実施
などが原因となる事例も発生しています。
スペーサー自体が直ちに悪いわけではありません。
しかし、適切な取付けや締付けトルク管理が行われていないと、重大事故につながる危険性があります。
回転体への巻き込み
回転しているタイヤやホイールは、走行中かなり強い力で回転しています。
突出した部品があると、
- 衣類
- 紐
- 荷物
- 周囲の物
などを巻き込む危険性も考えられます。
そのため、保安基準では「回転部分の突出」が厳しく確認されているのです。
「車検に通ればOK」ではありません
「車検の時だけ純正へ戻す」というケースもあります。
もちろん車検へ適合させることは重要ですが、本来は普段から保安基準に適合した状態で安全に走行することが大切です。
警察による街頭検査や整備命令の対象となる可能性もあるため、見た目だけではなく安全性も意識したカスタムを心掛けましょう
特に、回転部分の突出は、運輸支局などと警察が連携して行う「街頭検査」でも確認される項目の一つです。
回転部分の突出は代表的な不正改造の一つとして取り上げられており、不正改造防止を呼びかけるポスターなどでも紹介されています。
また、回転部分が突出した状態では、車検に通らないことはもちろん、一般整備や点検・修理であっても、ディーラーや整備工場から入庫を断られる場合があります。
対応は店舗によって異なりますが、入庫前に不適合箇所の改善や、純正タイヤ・ホイールへの交換を求められることもあります。
車検の時だけ基準に適合させるのではなく、日頃から安全かつ適法な状態を保つことが大切です。
ジムニーで回転部分突出になりやすいカスタム
タイヤサイズアップによるタイヤの突出

ジムニーでは185/85R16や195R16などへサイズアップされることがあります。
ただし、タイヤサイズだけで車検への適合を判断することはできません。
同じサイズ表記でも、タイヤ銘柄、ホイールのリム幅やインセット、スペーサーの有無、車両の個体差などによって突出量が変わります。
必ず実車へ装着した状態で、前方30°・後方50°の範囲を確認しましょう。

大きなタイヤや社外ホイールを装着したジムニーは、迫力があってカッコいいですよね!
ただし、タイヤサイズだけでは適合を判断できません。ホイールのリム幅やインセットなども含めて、慎重に選びましょう。
ホイール、ナットの突出

ホイールはもちろん、ホイールナットの突出も不適合です。
スペーサーの挿入
ホイールの位置を外側へオフセットさせるスペーサーは、不適合になりやすいです。

スペーサー自体の取付けは悪くありません。
ただし、保安基準に適合した状態で取り付けることはもちろん、
走行中に緩みや脱落が発生しないよう、確実に固定されていることが重要です。
回転部分の保安基準の解説

ここからは保安基準の解説です!
車検で不合格にならないよう、しっかり確認しましょう。
根拠となるのは、審査事務規程7-28-1(性能要件)が引用する、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第178条第2項です。条文は次のように定めています。
『自動車が直進姿勢をとった場合において、車軸中心を含む鉛直面と車軸中心を通りそれぞれ前方30°及び後方50°に交わる2平面によりはさまれる走行装置の回転部分(タイヤ、ホイール・ステップ、ホイール・キャップ等)が当該部分の直上の車体(フェンダ等)より車両の外側方向に突出していないもの。』


要するに、
「タイヤやホイール、ナットを上から見てフェンダー内に収まっているか、
前30°・後50°の範囲で回転部分が突出していないか」
を確認することとなります。
実際の確認では、糸に重りを付けた下げ振りなどを使い、フェンダーより外側へ出ていないか確認します。


この赤い範囲内でタイヤやホイール、ナットが飛び出していたらアウトです。

ちょっと待てや!
前の車検では何も言われへんかったし、店でも「これくらいなら大丈夫」って言われたんや!
なんで今回だけあかんねん!

以前の検査結果や、販売店・整備工場での説明だけで、今回の適合性が決まるわけではありません。
現在の車両状態を確認し、保安基準に適合しているかどうかを判断します。
回転部分が突出しており、車検に通らないと伝えると、
「前回は通った!」、「これぐらい問題ないだろう!」
と言われることも多いです。
しかし、車検は厳正かつ公正に行われます。
例え前回合格したとしても、現時点で保安基準に適合していなければなりません。
回転部分の突出に限った話ではありませんが、前回通ったから今回も合格ではありません。
回転部分が突出していた場合の対策方法

タイヤなどがはみ出していたとしても条件が整えば適合になることもあります。
その事例を見ていきましょう。
専用設計されたオーバーフェンダーの装着
メリット
- 専用設計のものであれば車検対応しやすい
- 外観も自然
注意点
- 車幅の変更量が20mmを超える場合は、構造等変更検査が必要になる可能性がある
- 取付け後の全幅が1.48mを超える場合は、軽自動車の規格を満たさず、そのまま軽自動車として使用できない

ここで大事なのは、「20mmの全幅変更・構造変更の基準」と、「前30°・後50°の回転部分突出の基準」はまったく別のルールだという点です。
オーバーフェンダーを装着して全幅変更が20mm以内に収まっていて構造等変更検査が不要だったとしても、それだけで車検に通るとは限りません。
実際にタイヤ・ホイール・ナットが前30°・後50°の範囲でフェンダーより外側に出ていないかは、下げ振りを使って個別に確認されます。「全幅は基準内だから大丈夫」と思い込まず、両方の基準を満たしているか確認してください。

回転部分の突出量が基準ぎりぎりの場合、車両の停止姿勢、ハンドルの向き、タイヤのたわみ、測定位置などによって確認結果に差が生じる可能性があります。
「数mmの余裕があるから大丈夫」と考えず、基準に対して十分な余裕を持たせることが重要です。
ワイドトレッドスペーサーを外す
車検時だけ外す人もかなり多いです。

ユーザー自身で取付け・取外しを行う事例も多く、ナットの締め忘れによるタイヤ脱落事故も発生しています。
取付け自体が直ちに悪いというわけではありませんが、
- 保安基準の遵守
- 適正な締付けトルク管理
この2点は必ず徹底してほしいですね。
タイヤサイズを適正に戻す
- 175/80R16:純正サイズ。ただしフェンダーの変形やホイール変更には注意
- 185/85R16:組合せによっては突出する可能性あり
- それ以上のサイズ:サイズが大きくなるほど干渉や突出の確認が重要
特にブロックタイヤは、銘柄によってサイドウォールやショルダー部の形状が大きく異なるため、同じサイズ表記でも実際の突出量が変わることがあります。

「車検の時だけ突出していないタイヤへ戻す…」
もちろん車検に適合させることは大切ですが、車検の時だけでなく、普段から保安基準に適合した状態で走行しましょう!
フェンダーモール(簡易対策)
- フェンダーモールを取り付けた結果、車幅の変更量が20mm以内であれば、寸法変更だけを理由とした構造等変更検査が不要となる場合がある。
- しっかりと固定されていること

ほな、タイヤが出てる分だけフェンダーモール付けたらええんやろ?
20mm以内やったら構造変更もいらんし、これで文句ないやろ!

そう単純ではありません。
車幅の変更量が一定の範囲内であっても、回転部分の突出基準は別に確認されます。
前方30°・後方50°の範囲で、タイヤやホイール、ナットなどがフェンダーより外側へ出ていないか、さらにモールが確実に取り付けられているかも確認が必要です。
2017年6月22日に回転部分突出の基準が変わった!?
タイヤの突出は、2017年6月22日以降、乗用車のタイヤに関しては10mm未満であれば「外側方向に突出していないもの」とみなされるようになりました。
ただし、この緩和には条件があります。
貨物車(JA11ジムニーなど)や10人以上の乗用車には適用されないため、これらの車両にはみ出しは引き続き禁止されています。
適用されるのは、前30°・後50°の範囲の中で最外側がタイヤ自体になっている部分のみです。ホイールのリムやセンターキャップが最外側に出ている場合は対象外で、従来どおりNGです。
ホイールやホイールキャップ、ホイールナットのはみ出しは、この改正後もまったく認められていません。

タイヤに限っては、一定の条件を満たせば、10mm未満の突出を「外側方向に突出していないもの」とみなす取扱いがあります。
ただし、この取扱いは貨物車などには適用されないため注意が必要です。
また、対象となるのは「最外側がタイヤとなる部分」のみです。ホイールやホイールナットが突出している場合は、この取扱いの対象にはなりません。
よくある誤解
Q. 10mm未満ならホイールも出ていい?
A. いいえ。認められる可能性があるのはタイヤ部分のみです。
Q. JA11も10mm未満なら大丈夫?
A. いいえ。貨物登録車は特例の対象外です。
Q. 車検の時だけ戻せば問題ない?
A. 車検に通すだけでなく、普段から保安基準に適合した状態で走行することが重要です。
ジムニーのハミタイは実車での確認が重要
ジムニーは、タイヤやホイールの変更、スペーサーの装着によって、回転部分がフェンダーから突出しやすい車種です。
車検では、前方30°・後方50°の範囲内で、タイヤやホイール、ナットなどが車体の外側へ突出していないか確認されます。
乗車定員10人未満の専ら乗用の用に供する自動車では、最外側がタイヤとなる部分に限り、10mm未満の突出を「外側方向に突出していないもの」とみなす取扱いがあります。ただし、ホイールやナットは対象外で、貨物車にも適用されません。
また、オーバーフェンダーやフェンダーモールを取り付ける場合は、「回転部分の突出」と「車幅の変更」を分けて考える必要があります。
タイヤサイズだけで判断せず、実車へ装着した状態で確認し、基準に対して十分な余裕を持たせることが大切です。
安全性と保安基準への適合を両立しながら、ジムニーのカスタムを楽しみましょう。

結局、「ハミタイは1cmまでなら何でもOK」っちゅう話やなかったんやな…。
タイヤだけの取扱いやし、ホイールやナットが出てたらあかん。貨物車も対象外っちゅうことか。
ネットの一言だけで判断したらあかんな。

そのとおりです。
回転部分の突出は、「何mm出ているか」だけで判断するものではありません。
車の用途や、突出している部分がタイヤなのか、ホイールやナットなのかを確認することが重要です。
カスタムを楽しむときは、車検のときだけではなく、普段から保安基準に適合した状態で安全に走行してくださいね。
参考資料
・道路運送車両の保安基準 第18条「車枠及び車体」
・道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第2節 第100条「車枠及び車体」
・自動車技術総合機構 審査事務規程 7-28・8-28「車枠及び車体」


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