自動車検査証には、車両重量、車両総重量、前前軸重、前後軸重、後前軸重、後後軸重などが記録されています。
一般的な乗用車の車両総重量は、車両重量に乗車定員分の重量を加えて求めます。
車両総重量=車両重量+乗車定員×55kg
貨物自動車では、さらに最大積載量を加えます。
車両総重量=車両重量+乗車定員×55kg+最大積載量
計算自体は単純に見えます。
しかし、車両総重量が法令上の上限を超えていなければ、どのような重量設定でも認められるわけではありません。
実際の審査では、少なくとも次の項目を確認します。
- 車両総重量の法令上の上限
- 自動車製作者が定めた車両総重量の許容限度
- 各軸の軸重
- 自動車製作者が定めた軸重の許容限度
- 隣り合う車軸にかかる荷重の合計
- 各輪の輪荷重
- タイヤの負荷能力
- かじ取車輪にかかる荷重の割合
- 最大安定傾斜角度など、重量変化によって影響を受ける基準
さらに、2026年10月1日から改造自動車届出制度の取扱いが変わります。
これによって車両総重量や軸重の基準が新しくなるわけではありませんが、改造後の重量分布を計算し、その適合性を説明する重要性が高まります。
今回は、審査事務規程の「車両総重量」と「軸重等」を確認しながら、自動車の重量をどのように判断するのか、そして2026年10月から何が変わるのかを深掘りします。
- 車両重量と車両総重量の違い
- 車両総重量の法令上の上限
- 法令上25tでも25tを設定できるとは限らない
- 型式指定自動車と多仕様自動車の許容限度
- 製作者の許容限度は絶対に変更できないのか
- 軸重は原則として10t以下
- 軸重にも製作者の許容限度がある
- 車両総重量が基準内でも重量配分で不適合になる
- 隣り合う車軸の軸重合計にも上限がある
- 輪荷重は原則として5t以下
- タイヤの負荷能力は別に確認する
- かじ取車輪にかかる荷重も確認する
- 重量分布計算とは何を確認するものか
- 重量分布の確認は以前から必要だった
- 2026年10月から改造自動車の取扱いが変わる
- どのような改造で重量分布計算が重要になるのか
- 同一型式内の部品なら重量確認は不要なのか
- 新制度で重要になるのは「数字の根拠」
- 車両総重量・軸重・輪荷重を確認する順番
- 第8章の「審査事項なし」はどう考えるのか
- まとめ
車両重量と車両総重量の違い

検子、車両重量と車両総重量の違いは説明できるか?

もちろんです。
車両重量は、空車状態にある自動車の重量です。
車両総重量は、車両重量に乗車定員分の重量を加え、貨物自動車の場合は、さらに最大積載量を加えた重量です。
例えば、次の貨物自動車で計算してみます。
- 車両重量:2,000kg
- 乗車定員:3人
- 最大積載量:1,000kg
乗車人員1人の重量を55kgとして計算すると、車両総重量は次のようになります。
2,000kg+165kg+1,000kg=3,165kg

計算としてはそのとおりだ。
ただし、その3,165kgを実際に設定できるかどうかは、足し算だけでは決められない。
製作者が定めた許容限度や前後の軸重、タイヤの負荷能力まで確認する必要がある。
車両総重量とは、自動車全体の重さを表す数値です。
一方、前後の車軸にどのように荷重がかかっているのかまでは、車両総重量だけでは分かりません。
車両総重量の法令上の上限
セミトレーラ以外の自動車の車両総重量は、最遠軸距と車長に応じて次のように定められています。
| 最遠軸距 | 車長 | 車両総重量の上限 |
|---|---|---|
| 5.5m未満 | ― | 20t |
| 5.5m以上7m未満 | 9m未満 | 20t |
| 5.5m以上7m未満 | 9m以上 | 22t |
| 7m以上 | 9m未満 | 20t |
| 7m以上 | 9m以上11m未満 | 22t |
| 7m以上 | 11m以上 | 25t |
最遠軸距が長く、一定の車長を持つ自動車ほど、大きな車両総重量が認められています。
ただし、この20t、22t、25tは、すべての自動車にそのまま設定できる重量ではありません。
あくまで、保安基準で定められた自動車全体の上限です。
なお、セミトレーラには別の区分があり、最遠軸距や構造に応じて20tから36tまでの上限が定められています。
法令上25tでも25tを設定できるとは限らない

まずは、最遠軸距と車長から法令上の上限を確認するのですね。

それは大枠の確認だな。
審査事務規程には、自動車製作者が車両総重量の許容限度を明確に定めている場合、その限度を超えてはならないと規定されている。
例えば、法令上は25tまで認められる自動車でも、製作者が定めた車両総重量の許容限度が22tなら、原則として22tがその車の上限になる。

法令上の上限と製作者の許容限度の両方へ適合する必要があるため、実質的には小さい方が上限になるということですね。

そのとおりだ。
20t、22t、25tという数値だけを見て、車両総重量を設定できるわけではないんだ。
実際に設定できる車両総重量は、次のように考えられます。
実質的な車両総重量の上限
=法令上の上限と製作者が定めた許容限度のうち小さい方
したがって、「最遠軸距と車長から25tまで認められるため、この自動車も25tまで増やせる」とは判断できません。
型式指定自動車と多仕様自動車の許容限度
型式指定自動車では、型式指定時の諸元や製作者から提供された資料などにより、その型式・類別に対応する許容限度を確認します。
多仕様自動車についても、基本的な考え方は同じです。
多仕様自動車では、共通構造部と、選択された原動機、車軸、懸架装置、タイヤなどの仕様を組み合わせて完成車が構成されます。
そのため、「多仕様自動車だから一律にこの重量まで認められる」というものではありません。
完成車を構成する仕様の組合せについて、次のような項目を確認します。
- 車両総重量の許容限度
- 各軸重の許容限度
- 懸架装置の仕様
- タイヤの仕様
- 制動装置の適用範囲
- 車枠や連結装置などの許容能力
製作者が定めた許容限度は、単なる参考値ではありません。
審査事務規程では、許容限度が明確な自動車について、その限度を超えてはならないと規定されています。
製作者の許容限度は絶対に変更できないのか
製作者が定めた車両総重量の許容限度は、原則として超えることができません。
ただし、審査事務規程には例外もあります。
主なものは次のとおりです。
- 改造後の自動車全体について安全上問題がないことを、指定自動車等の製作者が書面で認めた自動車
- 許容限度を超える改造について、すでに改造自動車として審査され、その後に構造や装置の変更がない自動車
したがって、「製作者の許容限度は、どのような場合でも絶対に変更できない」と説明するのも正確ではありません。
ただし、改造した側が独自に計算し、安全だと判断するだけでは足りません。
製作者の書面による承認や、改造自動車としての審査など、許容限度を超えても安全上問題がないことを確認できる根拠が必要です。
軸重は原則として10t以下
軸重とは、一つの車軸にかかる重量です。
一般的な前後2軸の自動車であれば、前軸重と後軸重に分けて確認します。
3軸以上の自動車では、車軸の配置に応じて前前軸、前後軸、後前軸、後後軸などに分けます。
自動車の軸重は、原則として1軸につき10tを超えてはいけません。
ただし、一定の牽引自動車の後軸については、11.5tまで認められる場合があります。
| 項目 | 上限 |
|---|---|
| 1軸の軸重 | 原則10t |
| 一定の牽引自動車の後軸 | 11.5t |
ここでも、法令上10t以下なら自由に軸重を設定できるわけではありません。
軸重にも製作者の許容限度がある
審査事務規程では、自動車製作者が軸重の許容限度を明確に定めている場合、その数値を超えてはならないと規定されています。
例えば、次の自動車を考えてみます。
- 法令上の軸重上限:10,000kg
- 製作者が定めた後軸重の許容限度:1,900kg
- 計算上の積車時後軸重:1,950kg
この場合、後軸重は法令上の10tを大きく下回っています。
しかし、製作者が定めた後軸重の許容限度を50kg超えているため、原則として認められません。
実質的な軸重の上限
=法令上の軸重上限と製作者が定めた軸重許容限度のうち小さい方
車両総重量が製作者の許容限度以内でも、前後どちらか一方の軸だけが許容限度を超えることがあります。
車両総重量が基準内でも重量配分で不適合になる

車両総重量が製作者の許容限度以内でも、荷重が後方に集中すれば、後軸だけが許容限度を超えることがありますね。

そのとおりだ。
例えば、同じ100kgの装置でも、ホイールベース中央付近に取り付ける場合と、後軸より後方へ取り付ける場合とでは結果が違う。
後軸より後方へ取り付ければ、てこの作用によって後軸には100kgを超える荷重が加わり、その分だけ前軸重が減少することもある。

改造によって何kg増えたかだけでなく、どの位置に取り付けたかを確認しなければ、改造後の軸重は分からないということですね。

そうだ。
逆に、自動車全体の重量が変わっていなくても、重量物を前方から後方へ移設すれば前後の軸重は変化する。
重量の増減だけで適否を判断することはできないんだ。
重量関係の審査では、少なくとも次の二つを分けて考える必要があります。
- 自動車全体の重量が何kg変化したか
- その重量が各車軸へどのように配分されたか
車両総重量は、自動車全体の重さを示します。
重量分布は、その重さを前後の車軸がどのように支えているかを示します。
隣り合う車軸の軸重合計にも上限がある
3軸車や4軸車などでは、一つひとつの軸重だけでなく、隣り合う車軸にかかる荷重の合計も確認します。
| 隣り合う車軸の軸距 | 軸重合計の上限 |
|---|---|
| 1.8m未満 | 18t |
| 1.3m以上1.8m未満で、1軸にかかる荷重が9.5t以下 | 19t |
| 1.8m以上 | 20t |
例えば、隣り合う二つの軸がそれぞれ9.5tであれば、各軸は10t以下です。
しかし、軸重の合計は19tになるため、車軸間の距離によっては基準を超える可能性があります。
多軸車では、「各軸が10t以下」という確認だけでは足りません。
なお、この隣接軸重の規定には、製作年月日や改造内容による適用関係があります。
輪荷重は原則として5t以下
輪荷重とは、一つの車輪にかかる荷重です。
審査事務規程では、輪荷重は原則として5tを超えてはならないと規定されています。
一定の牽引自動車の後輪については、5.75tまで認められる場合があります。
| 項目 | 上限 |
|---|---|
| 1輪の輪荷重 | 原則5t |
| 一定の牽引自動車の後輪 | 5.75t |
空車状態の輪荷重は、基本的に軸重をその軸に関係する輪数で除して求めます。
例えば、後軸重が1,600kgで、その軸に関係する輪数が2輪なら、輪荷重は次のようになります。
1,600kg÷2輪=800kg
ただし、輪荷重が5t以下だからといって、装着しているタイヤも問題ないとは限りません。
タイヤの負荷能力は別に確認する
タイヤには、サイズやロードインデックスなどに応じた負荷能力があります。
そのため、輪荷重が法令上の5t以下でも、タイヤの負荷能力を超えることはできません。
例えば、1輪に800kgの荷重がかかる自動車で、そのタイヤの負荷能力が750kgしかなければ、輪荷重5t以下という条件を満たしていても適合とは判断できません。
実際にタイヤへかかる荷重
≦そのタイヤの負荷能力
複輪の場合は、タイヤの種類、単輪または複輪での負荷能力、使用条件、最高速度、空気圧なども確認する必要があります。
さらに、タイヤだけでなく、リムや懸架装置などの許容能力が関係する場合もあります。
かじ取車輪にかかる荷重も確認する
自動車は、かじ取車輪に必要な荷重がかかっていなければ、安定して操縦できません。
一般的な前輪操舵車では、車体後部へ重い装置を取り付けると、てこの作用によって前軸重が減少することがあります。
車両総重量と後軸重が許容範囲内でも、かじ取車輪にかかる荷重割合が不足すれば、操縦安定性に関する基準へ適合しない可能性があります。
特に、次のような改造では注意が必要です。
- 車体後部への重量物の取付け
- リヤオーバーハング部分への装置追加
- キャンピング設備の設置
- リフトやクレーンの取付け
- 燃料タンクやバッテリーの移設
- スペアタイヤやキャリアの後付け
- 座席位置や乗車定員の変更
重量分布では、軸重の上限だけでなく、かじ取車輪に必要な荷重が残っているかも確認します。
重量分布計算とは何を確認するものか
重量分布計算とは、車両総重量を求めるだけの計算ではありません。
車両重量、乗車人員、最大積載量、追加した装置などの荷重が、前後の車軸へどのように配分されるのかを求める計算です。
一般的な前後2軸車では、主に次の数値を使用します。
- 空車状態の前軸重
- 空車状態の後軸重
- ホイールベース
- 乗車人員の重量と座席位置
- 最大積載量と荷重作用位置
- 追加または撤去した部品の重量
- 追加または撤去した部品の作用位置
- 移設した装置の移設前後の位置
荷重配分を求めるときは、重量だけでなく、車軸から荷重作用位置までの距離を使用します。
これがモーメント計算です。
同じ重量の部品でも、取付位置が変われば、前軸と後軸へ配分される重量も変わります。
重量分布計算は、車両総重量を求めるためだけではなく、その重量を各車軸が安全に支えられるか確認するための計算です。
重量分布の確認は以前から必要だった
重量分布計算そのものは、2026年に初めて設けられた基準ではありません。
改造によって車両重量、乗車定員、最大積載量、座席位置または荷重作用位置が変わる場合は、従来から改造後の車両総重量や各軸重が基準へ適合している必要がありました。
したがって、2026年10月から軸重10tや輪荷重5tという基準が新設されるわけではありません。
変わるのは、改造自動車に関する届出制度と、その審査方法です。

ここは誤解しやすいところだな。
2026年10月から、初めて軸重を計算することになるわけではない。

改造後の重量分布が保安基準へ適合している必要があることは、これまでと変わりませんね。

そうだ。
今回の見直しで注目したいのは、改造自動車の審査が新規検査等書面審査要領へ統合され、その添付資料として「重量分布計算に関する書面」が明確に位置づけられたことだ。
2026年10月から改造自動車の取扱いが変わる
2026年10月1日から、改造自動車届出制度の取扱いが見直されます。
主な変更点は次のとおりです。
- 改造自動車届出制度を新規検査等届出制度へ統合
- 改造自動車の審査を「新規検査等書面審査要領」により実施
- オンラインによる届出へ対応
- 一定の同一型式内の装置を使用した改造を届出対象から除外
- 一定の一般流通部品を使用した緩衝装置の改造を届出対象から除外
新しい書面審査要領では、添付資料の一つとして「重量分布計算に関する書面」が明示されています。
これにより、改造によって重量や荷重作用位置が変化する場合は、改造後の前後軸重などが基準へ適合していることを、重量分布計算によって説明する重要性が高まります。
ただし、すべての改造自動車に、重量分布計算書の提出が一律に義務付けられるわけではありません。
添付資料一覧では、重量分布計算に関する書面が「△」となる区分があり、基準の適用が除外されているなど、特段の必要がない場合は省略できます。
また、指定自動車等と同一の構造を有すると認められるものについても、重量分布計算に関する書面を省略できるとされています。
どのような改造で重量分布計算が重要になるのか
重量分布計算に関する書面が必要になるかどうかは、検査の種類、元の自動車の認証状態、改造内容、変更によって影響を受ける基準などによって判断されます。
特に重量分布の確認が重要になるのは、次のような改造です。
- 重量のある装置を追加または撤去する
- 重量物の取付位置を変更する
- 乗車定員を変更する
- 座席を増設または移設する
- 最大積載量を変更する
- 荷台の長さや位置を変更する
- 特種用途自動車へ用途を変更する
- 車軸位置やホイールベースを変更する
- 車体後部やリヤオーバーハング部分へ装置を追加する
- 燃料タンクやバッテリーなどを移設する
これらの改造では、車両総重量が基準内であることだけでなく、積車状態の各軸重、製作者が定めた許容限度、輪荷重、タイヤの負荷能力などを確認する必要があります。
同一型式内の部品なら重量確認は不要なのか
2026年10月以降、一定の条件を満たす同一型式内の装置を使用した改造は、改造自動車の届出対象から除外されます。
ただし、「改造自動車の届出対象から除外されること」と「重量関係の確認が不要になること」は同じではありません。
同一型式内に設定された装置を使用する場合でも、次の点を確認する必要があります。
- 取付方法などを変更せずに使用しているか
- 許容限度が元の自動車と同一または大きい類別に設定された装置か
- 改造後の車両総重量が許容限度内か
- 各軸重が許容限度内か
- タイヤや懸架装置の仕様が対応しているか
- 改造によってほかの保安基準へ影響しないか
特に、許容限度が明確な自動車では、使用する装置が、元の自動車と同一またはそれ以上の許容限度を持つ類別区分番号に設定されていることが条件になります。
届出が不要になることは、重量計算や保安基準への適合確認まで不要になることを意味しません。
新制度で重要になるのは「数字の根拠」
2026年10月からの制度見直しによって、車両総重量や軸重の上限そのものが変更されるわけではありません。
重要になるのは、改造後の重量が基準へ適合していることを、どのような資料と計算によって説明するかです。
そのため、改造前には少なくとも次の情報を確認しておく必要があります。
- 改造前の車両重量
- 改造前の各軸重
- 製作者が定めた車両総重量の許容限度
- 製作者が定めた各軸重の許容限度
- ホイールベース
- 追加、撤去または移設する部品の重量
- 部品の荷重作用位置
- 乗車定員と座席位置
- 最大積載量と荷重作用位置
- 装着タイヤの負荷能力
改造が完成してから重量超過に気づくと、装置の移設、部品の軽量化、乗車定員や最大積載量の見直しが必要になることがあります。
今後は、改造後に計算するのではなく、改造前の設計段階で重量分布を確認することが、より重要になってきます。
車両総重量・軸重・輪荷重を確認する順番
重量関係は、次の順序で確認すると整理しやすくなります。
- 改造後の車両重量を求める
- 乗車定員分の重量を加える
- 貨物自動車は最大積載量を加える
- 改造後の車両総重量を求める
- 法令上の車両総重量上限を確認する
- 製作者が定めた車両総重量の許容限度を確認する
- 重量分布計算によって積車状態の各軸重を求める
- 各軸が法令上の軸重上限を超えていないか確認する
- 各軸が製作者の軸重許容限度を超えていないか確認する
- 隣接軸重の合計を確認する
- 輪荷重を確認する
- タイヤの負荷能力を確認する
- かじ取車輪荷重割合を確認する
- 最大安定傾斜角度など、重量変化によって影響を受ける基準を確認する
どれか一つに適合すればよいのではなく、関係するすべての基準へ適合する必要があります。
第8章の「審査事項なし」はどう考えるのか
審査事務規程第8章の「改造等による変更のない使用過程車」では、車両総重量や軸重等について「審査事項なし」とされています。
しかし、これは改造等による変更がない使用過程車を対象とした取扱いです。
部品の取付け、構造変更、用途変更、乗車定員の変更などによって重量や重量分布が変化した自動車について、車両総重量や軸重を一切確認しなくてよいという意味ではありません。
変更が認められる場合は、改造後の重量、重量分布、各軸の許容限度、タイヤの負荷能力などを改めて確認する必要があります。
まとめ
セミトレーラ以外の自動車の車両総重量は、最遠軸距と車長に応じて、原則として20t、22tまたは25t以下と定められています。
しかし、この数値以内であれば、自由に車両総重量を設定できるわけではありません。
自動車製作者が車両総重量の許容限度を定めている場合は、その数値も超えることができません。
さらに、車両総重量が許容範囲内でも、次の基準へ適合する必要があります。
- 軸重は原則10t以下
- 製作者が定めた各軸重の許容限度以下
- 隣接軸重の合計が規定値以下
- 輪荷重は原則5t以下
- タイヤの負荷能力以下
- かじ取車輪に必要な荷重を確保
- 必要な最大安定傾斜角度を確保
重量に関する適否は、車両総重量だけでは判断できません。
重要なのは、重量が各車軸へどのように配分されているかです。
2026年10月1日からは、改造自動車届出制度が新規検査等届出制度へ統合されます。
これによって軸重や輪荷重の基準が新しくなるわけではありません。
また、すべての改造自動車に重量分布計算書が一律に必要になるわけでもありません。
しかし、改造によって重量や荷重作用位置が変わる場合は、重量分布計算によって改造後の適合性を説明する重要性が高まります。

車両総重量は、自動車全体の重さしか示していない。
本当に確認しなければならないのは、その重量が前後の軸へどのように配分され、それぞれの軸やタイヤが支えられる範囲に収まっているかだ。

車両総重量が基準内というだけでは、重量に関するすべての基準へ適合しているとは判断できないのですね。

そうだ。
重量について判断するときは、「何kgあるか」だけでなく、「どこに何kgかかるのか」まで確認する。
これまで必要だった適合性の確認を、今後は計算と資料によって、より明確に説明する必要があるということだな。
車両総重量、軸重、輪荷重、タイヤの負荷能力は、それぞれ独立した数値に見えます。
しかし、実際にはすべてが重量分布によってつながっています。
2026年10月の制度見直しを機に、改造後の総重量だけでなく、前後の重量配分まで確認することが、これまで以上に重要になるでしょう。
参照資料
- 独立行政法人自動車技術総合機構「審査事務規程7-4、8-4 車両総重量」
- 独立行政法人自動車技術総合機構「審査事務規程7-5、8-5 軸重等」
- 独立行政法人自動車技術総合機構「別添2 新規検査等書面審査要領」
- 独立行政法人自動車技術総合機構「改造自動車届出制度の見直しについて」
- 道路運送車両の保安基準第4条
- 道路運送車両の保安基準第4条の2
確認日:2026年8月13日



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